その高校の裏庭には小さな祠がある。
いつ、誰が、何のために作り何を祀ったものなのか誰も知らない。
しかし、生徒も教師も、街の人々も皆口を揃えてこう呼ぶ『──トコヨサマ』と。
学園の一年生、八上朔也(やがみさくや)と須芹未姫(すせりみき)は
新聞部のコンテストで使用する写真選びで夜遅くまで残っていた。
2人が帰ろうとしたその時、学園は霧に包まれ、正体不明の化物に襲われる。
校内を逃げる2人は昼間にはなかったはずの石化した生徒達を発見する。
このままでは自分達もやられる。 必死に反撃する2人。
だが化物と戦う中で、未姫は囚われ、朔也自身も傷を負ってしまう。
その時、朔也の耳に不思議な声が聞こえてくる、『──トコヨサマへ行け』。
戸惑いながらも声に従い古びた祠に向かうと、毬ともネコともつかぬ不思議な存在──付喪神の命部(ミョウブ)」と出会う。
命部は告げる。 この世=現世と常世と黄泉、三つの世界の流れに異変が生じ、今、学園は常世の一部となってしまったと。
そして今、朔也に宿る【御魂守】の力が目覚めたと。
未姫を救うため、朔也は命部の導きで祠から異世界・常世へと渡る。
だがそこで待っていたのは、時を紡ぐ世界
──現世(ウツシヨ)、時が積み重なる世界──常世(トコヨ)、時が死を迎える世界──黄泉(ヨミ)
その三つの世界に迫る、より大きな危機についての情報だった。